読書狂いはドラマチック症候群

これもぜんぶ本が好き過ぎたせいだ。「物語の主人公のような“普通の生活”」を求めて生きる、ドラマチックが過ぎるわたしの日常ブログ。ヒロインになるための人生珍道中をお届けします。

猫好きだけじゃない!愛情の正体を知りたくなったら読むべき本! 内田百閒『ノラや』

 

こんにちは!ノリです!

 

本日はお休みだったので、1日中だらだらと過ごしていました。

せっかく時間がいっぱいあるのにどこにも行かないのはもったいない!

 

お気に入りのカフェを見つけにいざ外へ!☕️

 

 

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結局ここに入っちゃうよねー!ナッティホワイトモカおいしいもんねー!

たべものに関してはあまり冒険しないおんなです。(サーティーワンは毎回なやんでいつもロッキーロード🍨) 

 

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さて、今日はきのうの記事でちょっとだけ触れた、

内田百けんの随筆「ノラやについて書こうかとおもいます📗

 

ノラや (中公文庫)

ノラや (中公文庫)

 

 

🐈

 

ざっと内容を説明すると、

ある日内田百けんの家の庭に1匹のノラ子猫が迷い込んでくる。次第に愛着が湧いた百けんは、その子猫に「ノラ」という名まえをつけて飼うことに。しかしある日、ノラが外へ出ていったきり帰ってこなくなってしまう。

 

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(イメージ写真🐈いまや我が家のドンと化した元野良猫のメルちゃん)

 

ノラを心配して探しまわる百けんの日々を、そしてノラが去ったのちに飼うことになるクルツとの生活をただひたすらにつづった本なのです。

 

 ・・・

自宅でにゃんこやわんこを飼っている人は、百けんに感情移入せずにはいられません!

あまりに共感してしまって、とちゅう読むのが少しつらくなるかも・・😿(だけど、すごく良い本なんです)

 

この中で百けんは、毎日毎日ノラのことを想って泣くのです。それはもうほんとうに毎日。今頃かわいそうなことになってはいないか、こんなに寒い雨の日にいったい外でどう過ごしているのか、とにかく心配で心配で泣く。

 

 

🐈🐈

 

ノラを愛する百けんはのちにノラに似た迷い猫を飼うことになります。

ノラを探す日々の中、ときどき百けんの家の庭に現れるようになった猫。

だけど百けんはもともと猫が好きなわけじゃない、好きなのはノラなのだ。かわいい仕草をするノラ。出前の鮨についてくる玉子が大好物で、それをなんともかわいい顔で食べるノラ。

いとおしいと思うものがたまたま猫だっただけであって、百けんにとってノラに代わる猫なんて他にどこを探してもいない。

 

それでも毎日うちに来るようになった迷い猫に、百けんは困ったことに愛着が湧いてきてしまう。しょうがないからクルツと名付ける。

そうしてクルツもまた、百けんにとってかけがえのない猫になってしまうのです。

 

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(メルの妹分だったサラちゃん。かなしいけどいまは虹の橋にいます)

 

🐈🐈

 

この本の3分の2・・いやそれ以上がノラを失くした悲しみで埋まっています。それはもう本当に苦しくなるくらい。

ただ最後の方はクルツとの日々がメインに描かれています。

クルツを可愛がるその様子は、ずっと百けんの悲しげな姿を見守ってきた読者として思わず「あぁ、よかった」と胸を撫で下さずにはいられません。

 

最終的に2匹の最愛の猫たちとのお別れを経験した百けんは、この本の最後でこんなことを言っています。

 

人人その好むところ従って、いろいろの飼い方があるだろう。私はたった一匹づつの猫でこんなひどい目に遭う。そうして後を引いていつ迄も忘れられない。猫は人を悲しませる為に人生に割り込んでいるのかと思う。

 

中公文庫『ノラや』より

 

百けんはノラやクルツと出会ったおかげで猫とともに生きる幸せと喜びを感じ、

ノラやクルツを出会ってしまったせいで一生消えることのない失う悲しみを受けました。

 

寒い風の吹く晩などに、門の扉が擦れ合って、軋む音がすると、私はひやりとする。そこいらに捨てられた子猫が、寒くて腹がへって、ヒイヒイ泣いているのであったら、どうしよう。ほっておけば死んでしまう。家へ入れてやれば又ノラ、クルの苦労を繰り返す。子猫ではない、風の音だった事を確かめてから、ほっとする。

 

中公文庫『ノラや』より

 

🐈🐕🐈🐕🐈

 

心の底から好きになってしまうことは、多分、人生最大の苦労なんだろう。

 

私も実家に2匹の犬と3匹の猫を飼っているから百けんの気持ちがよくわかります。

失くしたときの悲しさを想像すると、もう何も出来なくなる。

大好きだから、いつも彼女たちのことが心配で仕方がない。

 

ずっと前に実家の犬のジャムが庭から道路に出てしまって、ずっと遠くまでびゅーんと走って行ってしまったことがあります。

ジャムも不意のできごとにパニックを起こしていたけど、そのときは名前を呼んだら無事走って戻ってきてくれました。😿

 

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しょぼーん

 

それ以来ジャムを庭で遊ばせるときは「もしまた出てしまってそのまま帰って来れなくなったらどうしよう」という心配がつきまとって、一瞬でも庭から目を離せなくなってしまいました。

 

そして上京しジャムたちと離れて暮らしているいま、もうひとつ彼女たちにたいして抱いているのが罪悪感。

帰省するたびに、普段おとなしいわんこたちが自分を見失うくらい興奮して喜んでくれるのです。それだけ私は彼女たちにさみしい思いをさせていること。それがたまらなく辛い。

 

・・・

 

だけど、こういう私の感情は、一見「わんこたちにたいしての愛情が深いため」のものにみえるけど、実はどれもごうまんな思いのもとの感情だとおもうのです。

 

「いなくなったら私がつらい。だからそうならないように心配する」

「会えずにさみしい思いをさせているのが悲しい。だからできるだけそばにいたい」

 

愛情って、なんて自分勝手でごうまんなんでしょう!

 

いっそのこと、はじめから好きになんてならなければ、出会わなければ、

悲しまなくて済むし、失ったときのことを心配する必要もない。

 

それでもやっぱり人はだれかを、なにかを愛さずにはいられないんだと思うのです。

 

 

だって、

 

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出会ったときはあんなにちっちゃくて弱々しかったメルが、

わたしたちといっしょに暮らし始めたことで、こんなに元気で愛らしい姿をみせてくれるようになるんですから!

 

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😽

 

ノラや」ほんとうにおすすめです。

 すごくかなしいのにどこかユーモラスな文章で、読み終わった後きっと百けんおじちゃんのことを好きになっているはず。

 

ちなみに文庫本で読むなら、わたしは「中公文庫」から出ているものをおすすめします!

母親にも読ませよう!とちくま文庫のものを買ったのですが、こちらは読みやすいように現代語訳(というのだろうか!)で書かれていて、章の構成も違うので、中公文庫で読んだのとは雰囲気がちょっとちがうからです。(結局母親には中公文庫のものを買い直して渡しました🐱)

 

とはいえ好みの問題だと思うので、あんまり気にせずに、百けんにちょっとでも興味がでたら、まずは読んでみてください📗

 

さいごに元かわよき野良猫・メルちゃんのすてきな1枚でお別れしましょう!

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 でん!

 

ではまた!